クラフトビールやビール愛好家の間でよく耳にする「IBU(International Bitterness Units)」という言葉。 最近ではIBUをもとにビールを選ぶ方も増えており、ビールの苦味を理解する上で外せない指標の一つとなっています。
本記事では、ビールの苦味を客観的に表す指標であるIBUについて詳しく解説します。ビール選びをするときの参考になるだけでなく、より深くビールの世界を楽しむための知識としてぜひ活用してみてください。
そもそもビールにおけるIBUとは?

IBUはビールの“苦味の度合い”を示す数値で、この数値が高いほど苦味が強いと言われることが多いです。 しかし、実際にIBUの数値だけでそのビールの苦味を正確にイメージできるのか、またビールの味わい全体はどのように変化するのかを正しく理解している方は意外に少ないかもしれません。
IBUはビールの苦味の 度合いを表す数値
IBU(International Bitterness Units)は、文字通りビールにおける“苦味”を示す国際的な単位です。 ビールに含まれるイソアルファ酸(イソフムロンやその類似化合物)の濃度に基づいて計測され、1 IBUは1リットルあたり1ミリグラムのイソアルファ酸に相当するとされています。
たとえば、IBUが10と表記されていれば、1リットルあたり10ミリグラムのイソアルファ酸が含まれることになります。 この指標が生まれた背景には、ビールの味わいを客観的に比較したいというニーズがあります。
ビールにおける苦味を左右する主な要素はホップ(特にホップに含まれるアルファ酸)ですが、ホップの種類や使用量、煮沸時間などによって苦味は大きく変化します。 そうしたバラつきを数値化し、世界中のビールを一定の基準で比較できるようにするために、IBUという指標が広く用いられるようになったのです。
IBUの数値が高いビールほど 苦味が強いって本当?
「IBUの数値が高いほど苦味が強い」というのは基本的に正しいと言えます。ただし、「数値が高い=必ずしも強烈に苦い味わい」ではないことには注意が必要です。
ビールの味は苦味だけで決まるわけではなく、モルト(麦芽)の甘み、酵母由来の風味、アルコール度数、炭酸ガスの刺激など、さまざまな要素が複雑に絡み合って生まれます。
たとえば、同じIBU50のビールであっても、使用するモルトの種類が異なると甘味やコクの感じ方が異なり、実際に飲んだときの“苦味の感じ方”は大きく変わります。
また、IPA(インディア・ペール・エール)のようにホップを大量に使用するスタイルはIBUが高くなる傾向がありますが、フレーバーホップ(アロマホップ)の香りやモルトの甘みによって、必ずしも「苦いだけ」のビールにはならないのです。
そのため、IBUはあくまで“苦味成分がどのくらい含まれているか”を示す目安であり、実際に飲んだ時の感覚とは多少のズレが生じる可能性があると認識しておくとよいでしょう。
ビールのIBU(苦味)は 何で決まる?

では、このIBU(苦味度)は何によって決まるのでしょうか? ビールを構成する主要な原材料は「麦芽・ホップ・酵母・水」ですが、その中でも苦味を直接的に左右するのはホップです。
ホップに含まれるアルファ酸が熱によってイソアルファ酸に変化し、これがビールの苦味のもととなります。
IBUはホップで決まる!
ホップにはさまざまな品種があり、それぞれ含まれているアルファ酸の量や香りの特徴が異なります。アルファ酸が多い品種ほど、同じ量を使用した場合、ビールのIBU(苦味度)が高くなる傾向があります。
たとえば、高アルファ酸ホップと呼ばれる品種ではアルファ酸含有量が10%を超えることも珍しくありません。 こうしたホップを大量に使用すると、ビールの苦味は大きく強調され、IBUの数値も跳ね上がります。
一方で、アロマホップ(フレーバーホップ)と呼ばれるホップはアルファ酸含有量が低めで、苦味よりも香りを重視した品種が多いです。
こうしたホップを後半の煮沸時や発酵途中、あるいはドライホッピングで使用することで、ビールに華やかな香りをもたらすことができる一方、IBU(苦味度)の増加はそこまで大きくありません。 したがって、「どの品種のホップを使うか」「どのタイミングで使用するか」がビールのIBUを大きく左右すると言えるでしょう。
ホップの量や煮沸時間(煮込み時間)が IBUを左右する
ホップに含まれるアルファ酸がイソアルファ酸に変化するためには熱が必要です。 つまり、ホップを長時間煮沸するほど、より多くのアルファ酸がイソアルファ酸へと変換され、ビールの苦味は増していきます。
逆に、煮沸時間が短い場合、アルファ酸が十分にイソアルファ酸に変換されず、IBUの上昇は抑えられます。 さらに、ホップを投入するタイミングも重要です。
一般的にはビールの仕込み工程で「苦味付けのホップ」「フレーバーホップ」「アロマホップ」のように役割を分けて使うことがあります。 苦味を得るために最初にホップを投入し、長時間煮込むことでアルファ酸を十分に抽出します。
一方、後半や煮沸終了間際に投入するホップは、香りを残す目的が強く、苦味成分の抽出は抑えられます。 ホップの投入タイミングと量のコントロールこそが、ビール醸造家の腕の見せどころであり、同じスタイルのビールでもレシピによって苦味の強さや香りの立ち方が変わってくるのです。
ビールの苦味度(IBU)の測り方

IBUが何を示すものなのか、どんな要因で決まるのかを解説してきました。では、実際にビールのIBUはどのように測定されるのでしょうか?
ビールの苦味を客観的に数値化するには、化学的な分析手法が必要となります。 以下では、一般的なラボや分析機関で行われる測定手順の例を簡単に紹介します。
IBUの測定①炭酸を抜く
まずは、測定対象のビールから炭酸ガスを取り除きます。ビールには炭酸が含まれていますが、この炭酸があるままだと正確な分析が難しくなるため、あらかじめ炭酸を抜く工程が必要です。
炭酸を抜く方法は、ビールを振ってガスを放出させたり、減圧下に置いたりするなど、ラボによって異なる場合があります。 重要なのは、試料となるビールに余計な化学変化を起こさせないよう、なるべくビール本来の成分を維持したまま炭酸を取り除くことです。
IBUの測定②ビールと試薬を混ぜる
炭酸を抜いたビールには、苦味成分であるイソアルファ酸のほかにもさまざまな成分が溶け込んでいます。ここで用いるのが特定の溶媒や試薬で、イソアルファ酸を抽出・分離する役割を担います。
一般的に、イソオクタノールや特定の有機溶媒を使って、ビール中の苦味成分を化学的に引き離し、層を分離させる工程を行います。 この段階では、ビールに含まれる色素やタンパク質、その他の溶解成分などが残らないように注意しながら、イソアルファ酸などの苦味成分だけを抽出することが目標です。
試薬の種類や手順は分析機関や研究機関によって若干異なりますが、基本的には「ビール中の苦味成分を専用の溶媒に溶かす」工程が行われます。
IBUの測定③成分を分離させて分析する
苦味成分を含む溶液を分離したら、分光光度計などの機器を用いてイソアルファ酸の濃度を定量します。 分光光度計は、溶液に特定の波長の光を当て、その吸光度(どれだけ光を吸収するか)を測定する装置です。
イソアルファ酸が持つ固有の吸収特性を基に、どれだけの量が含まれているかを割り出し、最終的に「1リットルあたりに何ミリグラムのイソアルファ酸が含まれているか」という形でIBUを算出します。
近年では家庭用の簡易測定キットや、推定IBUを算出できる醸造ソフトウェアも存在しており、小規模なクラフトビール醸造所で活用されることもあります。
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【ビアスタイル別】 IBUの数値

IBUがビールの苦味を表す指標だということは分かっていても、実際にはビアスタイルによって苦味の傾向や数値はさまざまです。
ここでは代表的なビアスタイルをいくつか挙げ、それぞれのIBUの目安を紹介します。
ただし、下記の数値はあくまで一般的な目安であり、レシピや醸造家のこだわり次第で大きく変わる可能性があります。
同じスタイルであっても、「超絶苦いヴァイツェン」や「比較的マイルドなIPA」なども存在するので、あくまで一つの参考値として見てみてください。
1.ヴァイツェン
ヴァイツェンは小麦を多く使用し、酵母由来のバナナやクローブのような香りが特徴のビールスタイルです。 苦味よりも独特のフルーティーな香りとマイルドな飲み口が楽しめるため、IBUは比較的低めに設定されることが多いです。
一般的には10~20 IBU程度が多く、苦味を感じるというよりは小麦の柔らかな味わいと酵母の風味を存分に堪能できるビアスタイルです。
2.IPA
IPA(インディア・ペール・エール)はホップを大量に使用することで得られる強い苦味と華やかなホップアロマが最大の特徴です。IBUは比較的高く、40~70 IBU程度、場合によっては100 IBUを超えるものも珍しくありません。
中には「インペリアルIPA」「ダブルIPA」のようにさらにホップを強化し、IBUが100を大きく超えるような超苦味仕様のビールもあります。
苦味だけでなく、ホップの持つ柑橘系やトロピカルフルーツのアロマが魅力的で、近年のクラフトビール人気を牽引しているスタイルの一つです。
3.ラガー
ラガーは世界的に最も生産量が多いビアスタイルであり、日本の大手メーカーも中心的に製造しているタイプです。 ラガーの苦味はスタイルや各社のレシピによって大きく異なりますが、一般的なピルスナータイプのラガーであれば15~30 IBU程度が多い傾向にあります。
一方で、同じラガーでも「ドッペルボック」や「ダークラガー」のように濃色系のラガーになると、モルトのコクがしっかりしているため、IBUがやや高めでもあまり苦味を強く感じない場合があります。
4.ピルスナー
ピルスナーはチェコのプルゼニ地方で生まれたとされるビアスタイルで、ホップの爽快な苦味とキレのある飲み口が特徴です。 IBUは25~45程度が一般的とされ、ラガーの中でもホップ感をしっかり楽しめるスタイルです。
チェコ産のノーブルホップ「ザーツ」をメインに使うことで、品のある苦味と草原を思わせるアロマを生み出します。 チェコスタイルのピルスナーとドイツスタイルのピルスナーでも微妙に苦味の感じ方や香りが異なり、奥の深さが楽しめるでしょう。
5.フルーツビール
フルーツビールは、果実や果汁を使用して醸造または後処理を施したビールの総称です。イチゴ、リンゴ、ラズベリー、シトラス系など、多種多様なフルーツが用いられるため、ビールの苦味よりもフルーツの香りや甘酸っぱさが際立つ場合がほとんどです。IBUは10以下の場合も多く、苦味が極端に少ないタイプが主流となっています。
フルーティーで甘酸っぱいビールを楽しみたい方や、ビールの苦味が苦手という方に人気のあるスタイルです。
重厚な味わいが魅力!
REPUBREWの高IBUクラフトビール3選
1.【糖質ゼロのキレッキレ!】 SUNSET BEACH BRUT IIPA

暑い時期におすすめな、糖質ゼロのドライな「Brut IPA」です。IBUが80.9と高く、ダブルIPAでもあるためアルコール度数が高いのも特徴。
4種のホップを使った香り高さも魅力で、”1杯でしっかり酔える”満足感の高いビールとなっています。
2.【コスパ最強のIPA!】69IPA

モルトの少しの芳ばしさとホップの力強い香りをメインに、えぐみは極限まで少なく、“しっかりと苦いのにサラッと流れる”をテーマに開発されました。
IBUは69と高めですが、ピンクグレープフルーツやオレンジを思わせる柑橘のアロマやマンゴーを思わせるアロマが香るため、IPA初心者でも飲みやすい仕上がりになっています。
3.【オーク樽で1年熟成】 OAK BARREL AGED DARK COCO

Repubrewで人気のスタウト「Dark COCO」をウィスキーのオーク樽に投入、1年かけて熟成させたプレミアムなビールです。 グラスに鼻を近づけるとバーボンのように甘く濃厚な香りとホップ由来のココナッツ感が合わさり、バニラ感も相まってバレルエイジの魅力を感じられます。
IBUは79.94と口当たりはドライですが、炭酸に少し窒素が混ざることでスムースな口当たりに仕上がっております。
さっぱりと飲める!
REPUBREWの低IBUクラフトビール3選
1.【まるで桃のよう!】 MURKY INDIA PALE ALE

トロみが強く、炭酸の泡がきめ細かいことも相まって、まるでフルーツジュースのようなジューシーな味わいのHazy IPA。 口に含むとマルトデキストリン由来の濃厚なボディー感を堪能でき、高級感を感じさせます。
IBUが12.6と低めなので、トロピカルフルーツのアロマを感じながらすっきりと味わえます!
2.【これがホップの新時代!】 W Boost WIPA

IBUは8.74と苦みは弱めで口の中で炭酸と共に引いていき、舌に僅かに残る甘みががクラフトビールを飲んだ満足感を感じさせてくれます。
トップノートはグアバ、マンゴーのトロピカル感が強く、バナナの様なエステル香りも特徴です。
3.【伊豆ぬし釣りコラボのヘイジー】 CAMPai HAZY

モルトの軽いコクとオーツのなめらかな口当たり、Repubrewではあまりやらない4種類のホップをブレンドした特別なHazy IPA。 この製法によって十分に活きたウッディ&ココナッツ&トロピカルなフレーバーが特徴です。
IBUの割にアルコールは7%と少し高めですが、それを全く感じさせないスムーズな悪魔的飲み心地が魅力!
IBUはあくまでも基準

IBU(苦味度)の概要や決まり方、測定方法、さらには代表的なビアスタイル別の目安について詳しく解説してきました。 しかし、繰り返し強調しておきたいのは、「IBUはあくまでも苦味成分の目安」であり、実際の味わいを正確に伝えるものではないという点です。
同じIBUでも、モルトの甘みが強いビールは苦味が穏やかに感じられ、すっきりとしたライトなボディのビールだとIBUがそれほど高くなくても苦味が際立つ場合もあります。
また、個人の味覚は千差万別です。IPAを「ちょうど良い苦味」と感じる人もいれば、「苦すぎて飲めない」と感じる人もいます。 さらには味の好みは日々変化することもあり、最初は苦味が苦手だった人が、慣れるに従って「もっと苦いビールを試してみたい」と思うようになるケースも珍しくありません。
ビールを楽しむ上で重要なのは、数値や他人の評価にとらわれすぎず、自分自身の感覚で「おいしい」と感じるものを探求する姿勢です。
まとめ
本記事では「IBU ビール」というテーマを深掘りし、その基本的な意味やビール造りにおける苦味の決まり方、測定方法、スタイル別のIBUの目安などを幅広く紹介しました。
最初は難しく感じるかもしれませんが、ビールを選ぶ際にIBUの数値をチェックしてみると、ホップの苦味をどの程度期待できるかをつかむことができ、より充実したビールライフを楽しめるはずです。
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